私のタックルケース(おもちゃ箱)です。(20年くらい洗っていません。げん担ぎに。)
ルアーでの渓流釣りに使います。ごちゃごちゃです。
20年前、ある渓流でヤマメと遊んでいるとき、私の後ろを、やはりルアータックルを持った少年(小学生高学年くらい)が、私のまねをしながら釣り上がってくるのに気が付きました。
私は足を止め、少年を待ちました。そして少ない言葉数のなかで、彼にキャスティングと、川のどのあたりに魚がいて、どうルアーを泳がせたらよいかを、彼の自尊心を傷つけないよう注意しながら、教えてあげたのを覚えています。
何回かのキャスティングののち、かけたんですね。イワナでした。ところがハリが外れて逃がしてしまいました。私はなぜか急に彼がかわいそうになって、「君のタックルケースを見せてくれないか?」といました。彼は恥ずかしそうにそれを開きました。見せてもらうと、残念ながら針先は折れ、ルアーの軸も真っすぐではないルアーばかりでした。
私は自分の少年時代を思い出しました。自分のお小遣いで買った安い道具で、大人のまねをしていたなぁと。
彼にひとしきり道具の管理方法と、ハリの付け替え方を教え、ついでには糸の結び方まで教え、最後に、私の当時最も気に入っていたルアーを3つあげました。
「3つ上げる理由は、もし川底に引っかかったら、危ないから無理に取ろうとして、深みにはまらないように。そしてその場合は魚の勝ちだから、諦めなさい。」、そういうと彼は黙ってうなずきました。
ルアーをチェンジし再開すると、なんと一発でヒット。24㎝ほどのイワナが彼のビクに収まりました。「お兄さん、(当時はお兄さんでしたね。)ありがとう。大事にするね。」。私は彼と少年時代の自分を重ねていたのです。夏の暑さの中、あるいは昔の自分に会えたのかともと、いまとなってはそんなふうに思える、ところどころ曖昧な記憶です。
彼にあげたのが、下のブレットン。(フランス製です。当時はまだ、ルアーは輸入品がほとんどでした。もともと欧米の釣法ですから。)
上が、現代の最新鋭ルアーARSスピナーです。着水と同時にリールを巻くと、すぐに回転してくれる優れものです。
その後、私はブレットンの彼に釣り場を譲り、水位が上がって木の葉が流れて来出したら、危ないから絶対にすぐに川から上がるように伝えると、彼と別れました。
自分で釣るよりも楽しかった、夏の日の思い出です。
TOZO S
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