S様邸 別棟倉庫 改修工事  その2  構造設計・施工

建物の改修工事において、スケルトン(柱・梁・床等の構造躯体)と、インフィル(建物の内装・設備等)の改修を行う場合と、外装・開口部(クラディング)の改修のみを行う場合との二つがあります。

お施主様は、前者をご希望されました。

更には、いにしえの技術をもって、堅牢に造られた既存倉庫のスケルトン(柱・梁・床等の構造躯体)を生かし、それを現行法規基準に準拠、或は近づけ、そのうえでインフィル(建物の内装・設備等)の改修も、合わせて行うことをご希望されました。

インフィル(建物の内装・設備等)の施工については後ほど触れますが、まずは構造について。

1:土台ジャッキアップによる、水平精度の確保。

2:内部立ち上がり基礎と土台の新設付加による補強。

3:壁量の再計算と耐力壁の適正配置と金物による補強、及び偏心率の適正化。

4:水平力確保のための2階床剛性の確保。

他にもアンカーボルトの補強等がございますが、メインとなるのは上記の4つとなります。前置きが長くなりましたが、以下について述べたいと存じます。

【その2 構造設計・施工 庇の設計・施工】

庇 部分詳細図
庇 計算書 抜粋

キャンチレバー(跳ね出し(はねだし))での、庇の出のご要望は1.5m。

懸念されることはまず第一に、大屋根からの落雪が衝撃荷重となること。

『机上での計算と、それによる施工精度と施工手順に誤りは許されない。』がまず頭に浮かびます。

・垂木は2段掛け。

・前述の衝撃荷重を、既存の丸太梁に負担させたうえで、柱に伝達する。

『これで行こう。更にこれを意匠的デザインとして、ご提案しよう。』と。

お施主様お持ちのイメージキーワードは『和モダン』。そして縦張り外壁のカラー切り替えイメージは、お施主様のなかで既に完成されていました。

お施主様のお決めになったイメージパース
既存が瓦屋根であった為、破風板を2重破風としました。建物全体のバランス・黄金比を意識
まずは原寸型紙(型板)おこし
キャンチ梁及び方杖 精度確認
上桁留め及び精度確保のための、込み栓孔と端部切り欠き
仕上げ軒天羽目板張り、下段垂木掛け
上段垂木掛け、野地板張り(上段垂木は自重を考慮し再計算。ピッチ455に変更。)
完了

室内側の方杖は以下のようになる訳です。

既存丸太梁に応力を負担させつつ、柱に軸力を伝達
玄関ドアから見ると、図面・計算書通りの納まりとなっています。

鈑金屋さんも、大工さんの気合いに負けまいと、入念な止水処理と細やかな水切り・見切り等の施工と共に、デザインに重きを置いた口うるさい設計者(私 永井敏ですが。(^_-)-☆)のオーダーに応えてくれました。

庇下の構造躯体の機能美と、その集合体が間接照明の役割を果たし、建物前面空間を優しく照らしています。

続きは、❝その3❞にて。

TOZO 永井敏


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S様邸 別棟倉庫 改修工事  その1  設計・施工概要

倉庫、或は倉庫棟(別棟倉庫)というと、狭義の解釈では『有形の物品を保存・収納するための建造物』、ということになります。

ですが、住宅に付随する倉庫となれば、広義の解釈として趣味の空間ということも、当然当てはまります。

なぜなら倉庫は、収納するものを『整理し、仕分けし、並べ、眺める。』、という趣味の空間にまで昇華させられるものと考えるからです。

コレクターにとっては、しまうこと、収納すること、それ自体が楽しいこととなるのですから。

今回はまず『その1』ということで、外装の着手前から完了についての、概要としてお話しさせて頂きます。

外観 着手前1
外観 着手前2
外観 完了1
外観 完了2

倉庫となれば、収納前に仮置きをする等の手順が、当然発生致します。(これは荷捌き作業ではなく、あくまでも事前の準備ということになりますので、庇下は屋外的用途ということに該当します。)

そこで庇の出の長さが重要になってきます。なぜなら物品を雨で濡らすことなく収納することが必要となるからです。

出を大きくすることは、当然お施主様よりのご要望事項に、上位として挙げられる部分となります。

増築(床面積増)とならぬよう、既存の庇の面積と変更無しとするため、必要な部分のみの出を大きくするという設計とさせて頂きました。

この庇が、建物前面の空間を広げることになるのです。

如何でしょう?

庇下からのアッパーライトによる間接照明が、建物前の空間をも包絡し取り込み、建物の一部としての広がりに一役買っていますね。

引き続き❝その2❞をご覧頂きたいと存じます。

ではまた。

TOZO 永井敏


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お盆です。 

2022年の始まりから、半分以上が過ぎました。

弊社ご縁の大勢の皆々様(お施主様、公共工事に関わる皆様、各協力業者様方々より、数々のお仕事、また、係る工事の協力業者様)におかれましては、TOZOを可愛がって頂き、言葉では表現できないほどの感謝の気持ちでいっぱいでございます。

おかげさまで今日まで、ブログの更新が出来ないほどの忙しさでございました。

しかしそれは、どんなに忙しくとも社員総出を以て、『高品質な建物を創り上げること。』この言葉に尽きます。(ブログくらい書けるだろう、というお声が聞こえてきそうですが、どうかご容赦を。)

有難い忙しさも、その有難い忙しさに日々感謝させて頂いておる中で、私自身の頭の整理作業の一環として、ブログへの書き込みを再開させて頂きたいと感じた次第です。

とりあえず、スナップショットを揚げさせて頂きましたが、今後それぞれの現場別、部位ごとにテーマを決め、UPさせて頂きたいと存じます。

まずは各職方の細やかな手仕事・姿勢の一部をご覧頂き、続いてTOZOの魅力を深くお分り頂けるよう、設計・デザインについても施工写真と組み合わせながら、詳細に書き込みさせて頂きたいと考えております。

よいお盆休み、夏季休暇をお過ごしくださいませ。

TOZO 専務取締役・管理建築士 永井敏


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